By Nakato Lab, 2021/05/27, in category マルチngsオミクス解析研究会
マウスなどの哺乳類の生活環において、ゲノムワイドなリプログラミングは受精直後の受精卵と生殖細胞で二度起こる。これらの時期に遺伝子発現に抑制的なエピジェネティックマークが消失することが、「多能性の獲得」や「両親から受け継いだエピゲノム記憶の書き換え」につながる。その後、新規DNAメチル化によって、ゲノムワイドな「プログラミング」が起こることで、正常な発生が進行する。この「プログラミング」時に、その受け手となるクロマチンがどのような質的変化を遂げているかに関して、不明な点が多く残されていた。我々はこれまでに、新規DNAメチル化が進行中のマウス生殖細胞(ゴノサイト)を用いてクロマチン状態を解析してきた。その結果、体細胞ではヘテロクロマチン化されている多くの領域がゴノサイトで一過的にユークロマチン化するなど、ゲノム構造が広範囲に再構築することを見出している。しかし、このクロマチン変換の生物学的意義、および、その責任因子に関しては不明な点が多い。そこで、ゴノサイト期特異的なクロマチン状態変化に寄与する因子の探索を試みた。
ゴノサイトは不均一な細胞集団であるため、まずゴノサイト期の複数のステージのサンプルを用いてシングルセルRNA-seqを行った。その結果、ゴノサイトは4種類の細胞集団に分類されることが明らかとなった。また、発現変動解析により15個のクロマチン修飾関連遺伝子がゴノサイト期に一過的に発現上昇することも見出している。本セミナーでは上記の研究成果に基づいて、“クロマチンの再構築”が担う生殖細胞の恒常性維持への影響に関して議論したい。
受付は終了しました。
参加ご希望の方は5/25(火)までに以下の参加フォームからお申し込みください。
https://forms.gle/kW2JXVwDkC13yPaJ9
定量生命科学研究所大規模生命情報解析研究分野
メールアドレス:nakatolab.amedprime[at]gmail.com
( [at]を@に変換下さい )